バンドサウンドの土台を支え、リズムとハーモニーをつなぐ「縁の下の力持ち」——それがベースです。

ギターやボーカルほど目立たないかもしれませんが、ベースがいなければ音楽はスカスカになってしまうほど、楽曲における役割は絶大。でも、エレキベースという楽器がいつ、どのように生まれたか、知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
この記事では、エレキベースの誕生から現代まで、その歴史を時代ごとにわかりやすく解説します👇
- エレキベースが誕生する前、低音はどう表現されていたのか
- フェンダーが世界を変えた1951年の革命
- ロック・ファンク・J-POPを通じて進化してきた低音の歴史
- 現代のベースシーンはどこへ向かっているのか
ベースに興味がある方も、歴史として音楽を学びたい方も、ぜひ最後まで読んでみてください🎸
📋 目次
- エレキベース誕生以前|コントラバスが担っていた低音の役割
- 1951年|フェンダーがエレキベースを発明した日
- 1960年代|ロックンロールとともに世界へ広がる
- 1970年代|ファンク・ソウル・フュージョンが生み出した「主役のベース」
- 1980〜90年代|多様化する音楽シーンとJ-POPへの定着
- 2000年代〜現代|テクノロジーと融合した新時代のベース
- まとめ|エレキベースの歴史は「音楽の革命」の歴史
エレキベース誕生以前|コントラバスが担っていた低音の役割
エレキベースが登場する以前、バンドや楽団において低音域を担っていたのはコントラバス(ウッドベース)でした。

コントラバスはバイオリン族の楽器の中で最も大型で、クラシック音楽においては弦楽オーケストラの最低音部を支える重要な存在。ジャズやスウィングの時代(1920〜1940年代)には、コントラバスがリズムと低音の両方を担い、ビッグバンドサウンドの土台を形成していました。
しかし、コントラバスには大きな課題がありました。
- 🎻 楽器が巨大で、持ち運びが非常に不便
- 🔊 生音では大編成のバンドの音量に埋もれてしまう
- 🎸 習得に長い年月がかかり、演奏者が限られる
1940年代後半になると、ロックンロールの前身となるリズム&ブルースが台頭し、より大きな音・よりシンプルな演奏スタイルが求められるようになります。「コントラバスに代わる、電気で音を増幅できる低音楽器がほしい」——その需要が、歴史的な発明へとつながっていきます。
1951年|フェンダーがエレキベースを発明した日
1951年、アメリカのギターメーカーフェンダー(Fender Musical Instruments)の創業者、レオ・フェンダー(Leo Fender)が世界初の量産型エレキベース「プレシジョン・ベース(Precision Bass)」を発表しました。これが、現代に続くエレキベースの原点です。
プレシジョン・ベースは、エレキギターのようにボディにピックアップを搭載し、アンプで音を増幅する構造を採用。さらに、コントラバスにはなかったフレット(音程を区切る金属の仕切り)を指板に設けたことで、誰でも正確な音程で演奏できるようになりました。”プレシジョン(正確さ)”という名前には、この革新的な設計思想が込められています。
この発明が音楽史に与えた影響は計り知れません。
- ✅ 持ち運びが圧倒的に楽になった
- ✅ アンプを通じて大音量でも存在感を発揮できるようになった
- ✅ 比較的短期間で習得できるため、演奏できる人が増えた
1960年には、同じくフェンダーからジャズ・ベース(Jazz Bass)が登場。プレシジョン・ベースより細いネックと、2つのピックアップによる多彩な音色が特徴で、今日に至るまで世界中のベーシストに愛される名器となっています。
この「プレベ(プレシジョン)」と「ジャズベ(ジャズベース)」の2機種は、現代のエレキベースの基本形として、70年以上経った今もスタンダードであり続けています。
1960年代|ロックンロールとともに世界へ広がる
エレキベースの普及を一気に加速させたのが、1960年代のロックンロールブームです。
特に大きな影響を与えたのが、イギリスのロックバンドザ・ビートルズ。ベーシストのポール・マッカートニーは、エレキベースを単なる伴奏楽器にとどめず、メロディックなフレーズでバンドサウンドの中核を担う楽器へと昇華させました。
ビートルズの世界的な成功は「バンドをやりたい」「ベースを弾きたい」という若者を世界中で爆発的に増やし、エレキベースはロックバンドの定番編成に欠かせない楽器として定着していきます。
同時代には、アメリカでモータウンサウンド(ソウルミュージックの黄金時代)も花開きます。モータウンのスタジオミュージシャン集団「ファンキー・ブラザーズ」のジェームス・ジェマーソンは、スラップやゴーストノートを駆使した複雑なベースラインで楽曲をドライブし、ベースの可能性を大きく広げました。「影のヒーロー」とも呼ばれる彼のプレイスタイルは、後世の無数のベーシストに影響を与えています。
1970年代|ファンク・ソウル・フュージョンが生み出した「主役のベース」
1970年代は、ベースの「表現力」が飛躍的に拡張された時代です。
ファンクミュージックの台頭とともに、ベースは「バンドを支える裏方」から「フロントを張れる主役」へと変貌を遂げます。その象徴的な存在が、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのベーシストラリー・グラハムです。
ラリー・グラハムが確立したスラップ奏法(サム・ピッキング)は、親指で弦を叩いて打音を出し、人差し指で引きちぎるように弾くスタイル。ベースとして初めて「パーカッシブなリズム楽器」の側面を全面に打ち出したこの奏法は、ファンク・R&Bを中心に爆発的に広まりました。
また、ジャズとロックを融合させたフュージョンの分野では、ジャコ・パストリアスが登場。フレットレスベース(フレットなしのベース)を駆使した歌うようなメロディと、圧倒的なテクニックで「ベースの神様」と称されるようになります。彼の影響は現在も色褪せず、世界中のベーシストにとって究極の目標であり続けています。
🎵 この時代を代表するベーシスト
- ラリー・グラハム|スラップ奏法の父(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)
- ジャコ・パストリアス|フレットレスの神様(ウェザー・リポート)
- マーカス・ミラー|ファンクとジャズを融合させた現代的スタイル
1980〜90年代|多様化する音楽シーンとJ-POPへの定着
1980年代に入ると、音楽ジャンルの多様化とともにベースのスタイルも細分化していきます。
ヘビーメタル・ハードロックの世界では、スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)やゲディー・リー(ラッシュ)などが、超高速のフィンガーピッキングと複雑なリフでベースをフロントに押し出したプレイスタイルを確立。
スラップブームもこの時代に最高潮を迎えます。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーは、ロックバンドの中でスラップベースを全面的にフィーチャーし、90年代オルタナティブシーンにおけるベーシスト像を刷新しました。
日本では、80〜90年代のバンドブームがエレキベースの認知を一気に高めます。X JAPAN、BUCK-TICK、LUNA SEAなどのバンドが若者を中心に爆発的な人気を集め、「ベースを弾きたい」という需要が国内で急増。楽器店でのベース販売台数が急増したのもこの時代です。
また、J-POPシーンにおいても、スタジオミュージシャンとして活躍するプロのベーシストたちが数多くの名曲を支え、日本の大衆音楽にエレキベースが完全に根付いていきました。
2000年代〜現代|テクノロジーと融合した新時代のベース
2000年代以降、デジタル技術の進化はベースの世界にも大きな変革をもたらします。
5弦・6弦ベースの普及により、より広い音域での演奏が可能に。アクティブ回路(プリアンプ内蔵)を搭載したベースが標準化され、音のカスタマイズ性が格段に向上しました。
また、DAW(デジタルオーディオワークステーション)の普及により、ベースはバンドの中だけでなく、DTM・打ち込みの音楽制作の中でも欠かせない音として活用されるように。ソフトウェア音源としての「仮想ベース」も高品質化し、一人でベースサウンドを作り上げることが可能な時代になりました。
さらに、YouTubeやSNSの台頭は「ベース動画」文化を生み出し、世界中の演奏者が自分のプレイを発信するようになりました。日本でも多くのベーシストがSNSで活躍し、「ベースってかっこいい!弾いてみたい!」という新たなファン層を獲得し続けています。
現代のベースシーンは、伝統的な奏法と最新テクノロジーが融合した、かつてないほど豊かな表現世界が広がっています。
まとめ|エレキベースの歴史は「音楽の革命」の歴史
エレキベースの歴史を時代ごとに振り返ってみました。最後に流れを整理しましょう👇
📌 エレキベース 歴史年表まとめ
- ✅ 〜1950年代初頭|コントラバスが低音を担う時代
- ✅ 1951年|フェンダーがプレシジョン・ベースを発明
- ✅ 1960年代|ビートルズ・モータウンとともに世界へ普及
- ✅ 1970年代|スラップ奏法・フュージョンで「主役の楽器」に進化
- ✅ 1980〜90年代|ジャンルの多様化・日本のバンドブーム
- ✅ 2000年代〜現代|デジタル技術との融合・SNSで裾野が拡大
たった70年余りの歴史の中で、エレキベースは「運びやすいコントラバスの代替品」から「音楽の核心を担う表現楽器」へと劇的な進化を遂げてきました。その歴史はそのまま、現代ポピュラー音楽の発展の歴史でもあります。
この記事を読んで「ベースっていいな」「弾いてみたい」と思った方、ぜひ次の一歩を踏み出してみてください。ベースは「バンドで一番モテる楽器」と言われるほど需要が高く、一度弾けるようになると一生の趣味になります🎸
UNIVA音楽教室では、初心者の方でも安心して始められるベースレッスンをご用意しています。まずは気軽に無料体験レッスンからどうぞ!
