歌唱法|一覧でわかりやすい!知っておくべき技術と歴史

楽器、ボーカルの歴史コラム
楽器、ボーカルの歴史コラム

ボーカルの世界へようこそ!
歌うことが大好きなあなたも、
プロを目指すあなたも、
知っておくべき「歌唱法」があります。

それぞれの歌唱法には、
ユニークな「特徴」と「歴史」が存在します。

この記事では、
歌唱法の全体像を学ぶことができるので、
あなたの歌が今よりもっと
魅力的になること間違いなし!

ボーカリストならぜひ知っておきたい
歌唱法とその歴史を、
わかりやすくご紹介します!

新たな発見と驚きに溢れた「歌唱法の世界」を
一緒に楽しんでみましょう!

ベルカント唱法 (Bel Canto)

ベルカント唱法は、
イタリア発祥の歌唱技術です。

豊かな声の響きと、高度なテクニックが
求められ、オペラの黄金期を支えました。

クラシック音楽の世界で特に重要とされ、
今も多くの歌手がこの技術を学んでいます。

歴史

ベルカント唱法は17世紀から18世紀にかけてイタリアで誕生しました。

「ベルカント」とはイタリア語で「美しい歌」を意味します。

その名の通り、
・美しい音色
・滑らかなメロディーライン
を追求する歌唱技術です。

18世紀から19世紀初頭にかけて、
・ジョアキーノ・ロッシーニ
・ガエターノ・ドニゼッティ
・ヴィンチェンツォ・ベッリーニ
といった作曲家たちが、
ベルカントの技術を駆使したオペラを
数多く生み出しました。

これにより、
ベルカントはオペラの黄金期を築き上げ、
クラシック音楽の基盤となりました。

19世紀後半になると、音楽スタイルの変化により一時的に人気が低迷しましたが、
20世紀に再評価され、現在も多くの歌手が
学び続けています。

主な技術と特徴

ベルカント唱法の特徴は、
・柔らかく豊かな声の響き
・持続力のある息遣い
・滑らかなレガート
です。

また、トリルや装飾音などの
技巧的な要素も、重要です。

代表的なアーティスト

・ルチアーノ・パヴァロッティ
20世紀を代表するテノール歌手。
その美しい声と卓越した技術で、世界中のファンを魅了しました。

・マリア・カラス
高い表現力と技術で「ディーヴァ」と称され、
オペラ界に革命をもたらしました。

・ジョーン・サザーランド
オーストラリア出身のソプラノ歌手。
素晴らしい声と技術で多くの名演を残しました。

ミュージカル唱法 (Musical Theatre Singing)

ミュージカル唱法は、「歌」と「演技」を
融合させた、独特のスタイルです。

ブロードウェイやウエストエンドの舞台で
活躍するスターたちも、この技術を駆使して
観客を魅了しています。

ミュージカルの起源と進化

ミュージカルの起源は、
19世紀末から20世紀初頭のアメリカにあります。

オペレッタやバーレスクから発展し、
やがて「ショーボート」や「オクラホマ!」
といった作品が登場しました。

20世紀半ばにはブロードウェイが中心となり、
ミュージカルはエンターテインメントの
主要なジャンルとして成長しました。

ミュージカルは物語、音楽、ダンスが
融合した、舞台芸術です。

ロック、ポップ、ジャズ、クラシックなど、
さまざまな音楽スタイルが取り入れられ、
多様な作品が生まれています。

技術と発声のポイント

ミュージカル唱法ならではの、
独自の技術と発声法について探ってみましょう。

セリフと歌の融合

歌だけでなくセリフも多く含まれる点は、
ミュージカルの特徴のひとつです。

演劇のような「感情やストーリーを伝える力」
が、求められます。

ダンスと歌の同時表現

ミュージカルでは、歌いながらダンスをする場面もあります。

高いフィジカルコントロールとスタミナが必要で、動きながらも安定した発声を保つ訓練が必要です。

ミュージカルシンガーは、様々なジャンルのダンスを修得していたり、
人体学に精通している人も、非常に多くいます。

アンサンブル能力

他のキャストと一緒に歌う場面も多いミュージカルでは、アンサンブル能力が求められます。

また、長期公演を他のパフォーマー等と呼吸を合わせながら過ごす事も多いため、
協調性が求められるような一面もあります。

有名なミュージカルシンガー

・ジュリー・アンドリュース
「サウンド・オブ・ミュージック」や
「メリー・ポピンズ」で知られるシンガーです。
国境を超えて、長年、愛されています。

・イドリナ・メンゼ
「ウィキッド」のエルファバ役でブロードウェイのスターとなり、
その後も「レント」や「フローズン」のエルサ役など、多くの人気作品で活躍しています。

・ヒュー・ジャックマン
「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役で、歌唱力が評価され、
映画「グレイテスト・ショーマン」でもその才能を発揮しました。

ロックボーカル(Rock Vocal)

激しいビートに乗せて、感情を爆発させるような歌声で人々の心を揺さぶる、ロックボーカル。

エネルギッシュでパワフルな歌唱スタイルの誕生と発展、特有の技術、そして、代表的なロックシンガーについて見ていきましょう。

ロックの誕生と発展

ロックの誕生と、その発展についての重要なポイントを、わかりやすく整理してみましょう。

1950年代|ロックの誕生

ロック音楽は1950年代にアメリカで誕生したと言われています。

ブルースやリズム・アンド・ブルースの影響を受けた音楽ジャンルで、エルヴィス・プレスリー、チャック・ベリーなどのアーティストが初期のロックを牽引しました。

1960年代|世界的な音楽現象に

1960年代には、ビートルズやローリング・ストーンズが登場しました。

カリスマ的アーティストの影響力と、今までにない演奏スタイル、表現が人々の心を掴み、ロックは世界的な音楽現象となりました。

1970年代|スタイルの確立

1970年代以降、レッド・ツェッペリンやクイーンが登場しました。

「ハードロック」や「アリーナロック」といったスタイルが確立され、ロックはひとつの音楽スタイルとして、その地位を確実なものにしていきました。

ロックボーカルの技術

ロックボーカル特有の、他ジャンルにはない技術について、見ていってみましょう。

シャウト

ロック特有のシャウトは、感情を爆発させるような表現方法として、人々の心を掴みます。

シンガーとして、長く活躍し続けるためには
技術として「声帯に負担をかけずに」力強い声を出す方法を学ぶことも重要です。

パワフルな音質

「ロックを感じる声」の要素として、”音質”も重要です。

洗練された美しい歌声、というよりも
怒りや反発といったエネルギーを昇華させるようなパワフルな歌声が、ロックの特徴のひとつとも言えるでしょう。

ステージパフォーマンス

ロックボーカリストは、聴衆を魅了するステージパフォーマンスにも長けている傾向があります。

カリスマ性が求められ、人々の注目を集める刺激的かつ魅力的なパフォーマンスが期待されます。

代表的なロックシンガー

独自のスタイルを持ち、多くの聴衆を魅了してきた、有名なロックシンガーの一部を紹介します。

・ロバート・プラント
 「レッド・ツェッペリン」のボーカル。
ハイトーンシャウトと広い音域が特徴的です。

・フレディ・マーキュリー
「クイーン」のボーカル。
圧倒的な歌唱力とカリスマ性で知られています。

・ミック・ジャガー
「ローリング・ストーンズ」のボーカル。
独特のラフさとダイナミズムが特徴です。

・アックスル・ローズ
「ガンズ・アンド・ローゼズ」のボーカル。
幅広い音域と強力なシャウトで有名です。

ジャズボーカル (Jazz Vocal)

他のジャンルにはないアドリブの自由さ、深く先生な技術が求められるジャズボーカル。
その特徴と魅力にせまってみましょう。

ジャズの起源と歴史

ジャズの起源は20世紀初頭のアメリカ、ニューオーリンズにあります。

アフリカ系アメリカ人のブルースやラグタイムから、独自の音楽スタイルが生まれ発展しました。

ジャズは、その自由なアドリブ表現とテクニカルな超絶技巧のリズムで人々を魅了しました。

即興(アドリブ)の技術

ジャズボーカルの最大の特徴は「即興」です。
演奏中にその場でメロディーやリズムを変化させて、新たなフレーズを創り出します。

即興はジャズのジャンル的な特徴でもあります。
毎回異なる、リアルタイム感が強いパフォーマンスが期待されます。

スキャット

音節を即興で組み合わせて歌う技法です。
スキャットでは「エラ・フィッツジェラルド」が有名です。

人間の歌声でありながら、まるで楽器かのようなコントロールで、超絶技巧的な表現を実現します。

インタープレイ

ジャズボーカルでは、他ミュージシャン(バンド)との相互作用(インタープレイ)も重要です。

他プレイヤーの演奏を受けて、歌い方やフレーズを変化させていきます。

相互作用によって生まれる、一体感やライブ感が
ジャズ特有の「自由度の高いアドリブ表現」に。繋がっていきます。

リズムに対する自由度の高さ

ジャズボーカルでは、「リズムに対して、自由度が高い」ことも重要です。

ジャズのリズムの特徴としては、「スウィング」「シンコペーション」が挙げられます。

ポリリズムや多彩なアクセントも多用するため、
ボーカリストに対しても、多様なリズムを自由に使いこなす技術が期待されます。

ポップス唱法 (Pop Singing)

ポップスの誕生と進化

ポップス音楽は、1950年代から1960年代にかけてアメリカとイギリスで発展しました。

大衆に受け入れやすい形でさまざまな音楽スタイルを融合して、新しい音楽の形を創り出す特徴があります。

ポップスの誕生は、ロックンロールやブルース、ジャズなどの影響を強く受けています。

技術と表現法

ポップス唱法では、以下の技術と表現法がよく用いられます。

ストーリーテリング

ポップスの歌詞では、多くの場合、共感性の高いシンプルでストレートなメッセージを伝えます。

例えば日常、恋愛、友情といったテーマが多く、歌詞の物語性と感情表現が重視されます。

そのため、ボーカルにも物語を伝えられるだけの表現力が求められます。

ビジュアル表現

ポップスでは、他ジャンルと比較すると視覚的な表現も重要される、という面があります。

ミュージックビデオ、ライブパフォーマンスや、プロモーションにおいても、ファッションなどのビジュアル面のインパクトを活用する傾向があります。

アーティストのイメージ作りによって、「総合エンターテインメント」として音楽を提供します。

ミックスボイス

チェストボイス(胸声)とヘッドボイス(頭声)を効果的に混ぜることで、幅広い音域を安定して歌えるのが、ミックスボイスの技術です。

これにより、ポップス特有の華やかなサウンドが実現します。

代表的なポップスシンガー

・マイケル・ジャクソン
「キング・オブ・ポップ」と称される、伝説的な人物。独特のスタイルとパフォーマンスで、ポップスの歴史に大きな影響を与えました。

・マドンナ
常に変化し続ける音楽スタイルと、大胆なパフォーマンスで知られています。
「Like a Virgin」や「Vogue」など、多くのヒット曲を世に送り出しました。

・テイラー・スウィフト
カントリーからポップスに転向し、成功を収めました。物語性豊かな歌詞と、幅広い音楽スタイルで人気を博しています。

・エド・シーラン
シンプルながら感動的な歌詞とメロディーが、世界中の人々に愛されています。「Shape of You」や「Perfect」は、特に大きなヒット曲です。

まとめ

いかがでしたか?
各ジャンルの歌唱法には、それぞれ独自の魅力と技術があります。

ベルカント唱法、ミュージカル唱法、ロックボーカル、ジャズボーカル、ポップス唱法、
それぞれに全く異なる「魅力」がありますね。
求められる「技術」も、ジャンルによって変わります。

様々な歌唱法について理解を深めて、より適切で説得力のある音楽表現を、ぜひ実現してみてくださいね。

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